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2004.08.07

世界の中心で、愛をさけぶ (第六回)

くだらないと言われようと
自分以外に誰が亜紀と一緒に時を止めてやるんだろう
亜紀は こんなくだらない男と巡り会う時間しか
許されなかったのだから・・・
未来が静かに暮れてゆく

オレ、何で生きてんのかな・・・亜紀

テープから聞こえる亜紀の声に涙する緒形直人のカットで始まった第六話。
目の前が涙でにじみ、胸が詰まるシーンがいくつあったかわからない。

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亜紀の両親と朔が、お互いの気持ちをぶつけあったひとつひとつの場面、大木たちの友情、教師の生徒に対する愛、朔を見守る父の愛、そして朔にだけ見せた亜紀の涙・・・
役者さんたちが皆、渾身の演技でそれぞれの生き様を優しく訴えかけてくる。

 
朔からテープの返事が来ない事に「他に女の子とか・・・」と、不安を感じる亜紀。
そんな亜紀を思いやる母の、「亜紀のことばっかり聞いてくるわよ」という言葉に「ほんとに?」と目を輝かせる姿が切なくも愛らしい。

二人で交換し合ったテープを聞ききながら、ひとつひとつ朔の声に答える亜紀。
その姿もけなげで切ない。
本当に大好きでしかたがないんだなということが伝わってくる。
そしてウォークマンを頬に当て、「大好きだよ、会いたいよ朔ちゃん」と涙する亜紀の姿に胸が詰まる。

これまで色々な形で二人を応援してきた母・綾子が、ようやく入院先を知って駆けつけ、「俺、できる事何でもしますから」という朔に、「できる事なんて簡単に言わないで!」と激しい言葉をぶつける姿が痛ましい。

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亜紀が「白血病」であることを知らされ、呆然とする朔。
その表情が、演技が凄い。
もう彼は山田孝之ではなく、間違いなく「松本朔太郎」本人としか思えない。

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以前にラジオにハガキを出し、その内容の通りとなってしまった現実を、同じハガキによって変えようとする朔。
次々と流れ落ちる大粒の涙。
その涙でハガキに書きつづる文字がにじむ。

このシーンで自分の目にも溜まった涙が、危うく落ちそうになった。
しかし、一つのシーンも見逃したくない、冷静に見ようとの思いからそれをこらえた。

4日も学校を休み続ける朔。
そんな朔に対し、「こんなの広瀬は喜ばないよ」と訴える中川。
その後に続く友人たちの、彼ららしい励ましが微笑ましい。

松下由樹演じる先生もまた、彼女らしい朔への励ましに、生徒に対する深い愛情を感じさせられる。

ここでぐじぐじ泣くことくらいかもね あんたにできるのは
広瀬の前でもそうしてるつもり?
私が親でも会って欲しくないな そんな奴に

亜紀が白血病である事を知る彼女の心境もまた、複雑に違いない。

そうした人々の励ましを受け、自分にできることを見つける朔。

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面会謝絶が解けて、病院に駆けつけた彼の前に立ちはだかる亜紀の父。
その言葉は重く、そして切ない。

おれのせいか?
綾子のせいか?
君のせいじゃないな
だからこそ 君を憎むことでしか 俺は立ってられないんだ

これまで大切に育ててきた娘の余命を知らされた父親の苦悩を表したこの台詞は、とりわけ秀逸だと感じる。
そしてそれを本当に自然に、まさに本当の父親が語るかのように聞かせる三浦友和の演技に、役者としての実力を改めて感じさせられた。

朔が祖父の仏壇に語りかけるシーンも印象深く心に残った。

亜紀が居なくなると困る人いっぱいいるんだよ
亜紀を連れて行かないでよ

そんな息子を見守る、不器用ながらも優しさに満ちた父・潤一郎の表情と、その後の行動もまた胸を打つ。

亜紀の父に、夢島で撮られた亜紀の写真を渡す潤一郎。
それを袋から取り出し1枚1枚見ていくシーンで、その写真に写った亜紀の天使のような笑顔に、こちらもまた涙が溢れそうになった。
切なすぎる。

俺の娘はあんな顔で笑うんだな・・・

朔にそう告げて、亜紀と会うことを許す亜紀の父の姿には、自分ではそんな笑顔を引き出せなかった事に対する男親としての寂しさが滲み出ていた。

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友人たちが芝居を見せる為に亜紀に会っている間も、ずっと会わずに耐えていた朔が、その溜まりに溜まった思いをぶつけるかのように病院の階段を駆け上る。
病室のドアをノックしようとする朔に、いつものように後ろから人差指を立ててその肩をたたく亜紀。
マスクを外して見せたその亜紀の笑顔に、そして次第に涙を潤ませ崩れていくその表情に、彼女もまた綾瀬はるかではなく、廣瀬亜紀そのものであることを痛感させられる。

泣きそうになった
だけど泣いてはいけないと思った
僕が泣くと
きっと 亜紀が思いっきり泣けなくなるから

抱き合う二人に、そして交わし合う言葉に、亜紀の涙に、涙をこらえる朔の表情に、胸を締め付けられるような思いを抑えることができなくなる。

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もしも亜紀が笑えるなら 僕は一生笑えなくていい
もしも亜紀が泣きたいなら 僕は一生我慢する
代わりに死ねと言われたら、喜んで死んでやろうと
あの日僕は 本気でそう思っていた・・・

朔の強い思いが、とても自然に受け止められた。
だからこそ、その後に続く緒形直人によって語られる17年後の朔の言葉が、そして海に向かって歩き出す姿が、とても重く伝わってくるのだろう。

亜紀と一緒に灰になったのは 僕の心だった
そんな人間は 生きているのか 死んでいるのか
答えはわかっていた 17年前から
僕は恐くて 逃げ続けてきたんだ
たった一つの答えから

乗り越えるにはあまりにも大きな亀裂。
それでも乗り越えてほしいと、また願う。

エンディング曲「かたちあるもの」が流れる中、放心状態で画面を見ていた。
曲の最後の方で、朔が手を差し出し、亜紀が手を差し出す。
もう何度も見ている映像だ。
しかしその直後、亜紀の笑顔を見た瞬間、それまで溜まる事はあっても溢れることは無かった涙が、まぶたから頬を伝って流れ落ちた。

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コメント

ども。
今回もカミサンといっしょに観たのだ。

今回は父親=三浦友和がGoodだったのだ。
同じ親として共感できる部分が多かったのだ。

最後はカミサンが涙・・・私はギリギリで持ちこたえてしまったのだ。
3話持ち越しで次回は大泣きしそう・・・

#このblog 内のセリフってビデオからの聞き取り?
#まるで、脚本を持っているのかと疑ってしまうのだ。

投稿: はんぎょどん | 2004.08.07 08:39 午前

はんぎょどんさん、どもです。

三浦友和の父親役、良かったですね。
これまではあまり個性の強い役者さんとは感じていなかったけど、さすがに実力派だなと改めて感心しました。

blog 内のセリフについて・・・

ドラマのレビューを書き始めたのは「オレンジデイズ」からだけど、だんだん今のような書き方になってきた感じですね。

先ず見終わった直後に、気になったセリフの断片や感じたことを順不動で一気に書きます。

その後にビデオで該当する箇所を飛ばし飛ばし見ながら、セリフを正確に直し、最後に全体の流れを整える。
だいたいそんな感じで書いています。

時間をおいて読み返してみると、あそこはこう書けば良かったなというのが結構あるのですが、時間をおいて書いたものは整理はされていても、やっぱり臨場感がイマイチな感じがしますね。

投稿: Gai | 2004.08.07 05:31 午後

ども。
第三話でのおじいちゃんのお話を観て以来
ちょっと間が空いてしまいましたが、やっとまとめて観られました

今回はアキの父親役の三浦友和さんが一番良かったと思います

父親として、男として
娘に何もしてやれない無力感をサクにぶつけてしまう
でも笑顔の娘の写真を見せられ、娘をサクに託す父親がステキでした

サクの『アキの父親だから認めて欲しい』という言葉も相まって
とても泣けてしまいました

・・・どうも感想的な文は苦手なのでうまく書けませんが(笑)

Gaiさんの書き方は毎回、共感させられる部分が多くて
こちらもドキドキですよ

投稿: マツ | 2004.08.08 02:09 午前

まつさん、コメントありがとうございました。

Gaiが書き逃した大事な部分を、うんうんと頷きながらコメントを読ませて頂きました^^

自分の文章を読み返してみると稚拙だなぁと感じることが多いのですが、少しでも共感もって読んで頂けてるとしたらとても嬉しいです。

Blogの方も拝見しました。
興味の対象が共通する記事が多くて、しばらくあちこち読みふけってしまいました^^;
こちらもまた時々おじゃまします。
今後とも宜しくお願いします。

投稿: Gai | 2004.08.08 02:32 午前

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