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2004.08.28

世界の中心で、愛をさけぶ (第九回)

朔ちゃん
キスでも
キスでも しませんか?

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もうこのレビューは書けないと思った。
あまりにも、
あまりにも悲しすぎる。

髪の無くなった亜紀が、点滴の支柱にしがみ付き、涙を必死にこらえながら笑顔で朔に語りかけるその姿とセリフに、涙が止まらなくなってしまった。

そこまでの話の展開や、感じた事など全て吹き飛んでしまって、だからレビューも書けないと思ってしまったのだ。
それでもいいと思った。
今回は、それだけ書いて終わりでもいいと。

でもきっと、きっと後で後悔すると思うので、頑張って第9話を振り返ってみようと思う。

 
17年はちょっと長すぎない?
ほんとに普通の死別だったの?

僕は話し始めた 亜紀と僕の最後の日々について

それまでの抜けるような青空のタイトルバックに変わり、雲から漏れる夕陽で始まった第9話。
朔がなぜ亜紀の死を17年も引きずることになってしまったのか、その片鱗が語られた。
「あと五年生き延びれば・・・」


「先のこと考えるのやめたんだ、今二人に出来ること思いっきりやろう」と婚姻届を出すために奔走する朔。
戸惑いながらも、そんな朔を嬉しく思っている亜紀の姿が可愛らしい。

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しかし、抗がん剤が効かなくなってきたという医師の弁に「このままじゃ薬に殺されます!」と取り乱す母。
そして子供の頃にブラウスをねだった亜紀に別のものを買って与えた想い出に、「両方買ってやればよかった、もっと甘やかしてやればよかった」と悔やむ父。
痛々しくて胸が苦しくなる。

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序盤の回ではまったく娘の気持ちなど気にもかけずに、自分の考える将来像を押し付けていただけだった父親が、娘の望みを叶えてやりたい、結婚写真をとらせてやりたいと朔の父に頼む姿、それを快く承諾する作の父の姿。
ふたりの父親の思いを映すかのように、夕焼けの海がとてもキラキラしていて、それがまたたまらなく切なかった。

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父が既に結婚写真を撮ることを許すつもりでいる事を知らない亜紀は、喧嘩になるのが嫌だからと、テープでその思いを伝える。

お父さん、明日、私、結婚写真撮るよ
私頑張ってしゃんとするから
髪の毛にも頑張るように指令出したぞよ
今の私にはもう、こんな事しか頑張れないけど
お父さんに見てほしい

余命いくばくも無いとわかっている娘から、こんなセリフを聞かされる父親の思いはどんなものなのだろう。
三浦友和の演技に胸が詰まる。

ウェディングドレス姿の亜紀は本当に美しく、似合う?と聞く亜紀に何度も頷く朔。

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顔を洗ってくると言って部屋に戻った朔の止まらない涙に、こちらも切なくなる。

「みんながいて 亜紀がいて 僕は幸せだ」

集った家族や友人たちのシーンはとても和やかで、本当に「まるで夢の中のような幸せで・・・」という朔の思いが伝わってくる。
このまま時間を止めてあげたい、そう思わずにはいられない。

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その日から空の写真を取り続ける朔。
病室には空が無かったから・・・

だけど亜紀は
だから 手を伸ばしてしまったんだ 空に

亜紀の容態が急変し、テープでしか亜紀の声を聞けない朔。
そのテープへの録音すら大変な亜紀。
衰弱していく亜紀の姿を見ていられない。

アボリジニの世界では
この世にある全てのものに理由が存在するの
私の病気にも理由があるはずよ
それを悲しいとか
苦しいとか
寂しいとか思うのは
きっと 理解が足りないせいなんだよね
そうだよね 朔ちゃん

教えてほしいと思った。
どんな理由があるのか。
なぜ亜紀が死ななければならないのか。
なぜ朔がこんなに苦しまなければならないのか。
なぜ両親や周囲の人々が、これほどまでに悲しまなければならないのか。

朔ちゃん
生きてるって どういうことかな
死ぬって どういうことかな
たまに 生きてるのか死んでるのか わからなくなる
朔ちゃん
朔ちゃん
朔ちゃん 私の声 聞こえてるよね

か細くなっていく亜紀の声に胸が締め付けられる。

必死の表情で自転車を走らせる朔。
その思いに応えて病室に通す亜紀の母。

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手塚理美の深みのある演技に再度感心させられる。
しかしその後に続いたシーンの連続にはもう・・・

ベッドから降りて立ち上がることすらおぼつかない亜紀。
帽子を取った亜紀に驚く朔。

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泣きながら、笑顔で驚きを伝える朔。
なんで泣くの?と聞く亜紀に、亜紀が泣かないから、と答える朔。

朔ちゃん
キスでも
キスでも しませんか?

もう限界だった。
溢れる涙をどうしようもなかった。

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無菌室越しの二人のキス、そして亜紀から朔に渡されたテープ。

朔ちゃん
空が見たい
一度しかない最後なら
私 世界で一番青い空が見たい

病室に飾られた、朔が撮った空の写真に手を伸ばす亜紀の姿に胸が締め付けられる。

何を希望というのだろう
何を絶望と呼ぶのだろう
何を生きるというのだろう
何を死ぬというのだろう
何を正気と 何を狂気というのか
もう何も 僕には何もわからなくなった

倒れた自転車から転げ落ち、起き上がろうともせずに号泣する朔。
演技とは思えない朔のその号泣する姿に、山田孝之の役者としての才能を痛感する。

だけど 亜紀が望むなら 僕は空を見せてやろう
亜紀を眠らせてやろう
世界で一番青い空を見せて
世界で一番幸せに眠らせてやろう
そう思ったんだ

自分が病院から連れ出さなければ、違う未来があったかもしれないと語る朔太郎に、話したくなった時はいくらでも聞くと涙しながら語る明希。

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僕の心が軽くなった分は きっとこの小さな肩に乗っている
僕はこんなやさしさを知らなかった
失いたくないと
大切にしなければいけないと思った

朔が明希を後ろから抱きしめる。
それを見守るように映る亜紀の遺骨。

しかし最後のシーンでその遺骨のビンがアスファルトに砕ける。
バイクの前で飛び出そうとする朔を掴み止める様に・・・

新しい家族と三人で亜紀の骨を撒くラストを、どこかで期待していた。
17年後の朔に、まだ心安らぐ時は訪れないのだろうか。


今回はどうにか最後までレビューを書き終える事ができた。
しかし、残り二話、果たして書き続けていけるだろうかと心配になる。
あまりにも、あまりにも切な過ぎる・・・

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コメント

突然おじゃまします。
お父さんが亜紀に買ってやったのは、絵本「ぐりとぐら」です。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4834000826/qid=1093644353/br=1-1/ref=br_lf_b_0/249-3576299-3255501

投稿: tele | 2004.08.28 07:10 午前

teleさん、コメントありがとうございます。

なるほど。
亜紀ママが「亜紀の夢は絵本の編集者」というセリフがあったので、たぶんその関係だろうなとは思っていましたが、おかげでスッキリしました。
ありがとうございました。

投稿: Gai | 2004.08.28 12:56 午後

ども、遅いコメントになったのだ。(汗)

昨夜は、めずらしくひとりで観たのだ。
カミサンの体調が悪かったせいもあって、先に寝床についていた・・・

うーん、今回は本当に最初から最後まで、「せつなさ」の連続・・・
アキの父親(三浦友和)がアキ以上にかわいそうに見えていたのだ。
もし、自分の子供が不治の病にかかったらと思うと言葉に表せないものがあるのだ。

いよいよ次回は、アキとのお別れなのか・・・期待よりもせつないため息が出そうなのだ。


P.S.
つらくてもなんとか最終回までレビュー、書いてください。

投稿: はんぎょどん | 2004.08.28 09:09 午後

「両方買ってやればよかった」
「今の私にはもう、こんな事しか頑張れないけど、お父さんに見てほしい」

たまらないですね。
これはドラマだけど、決してドラマの中だけの出来事ではないと思うし、色々なカタチで親としての辛さと向き合わなければならない人は大勢いるのだろうなと思うと、人生って過酷だなと感じます。
でもしっかり向き合いつつも前を向いて生きていけるのが人の強さであり素晴らしさなんでしょうね。

>つらくてもなんとか最終回までレビュー、書いてください。

ありがとうございます。
何よりの励みになります。
こんなに泣いてしまうドラマは初めてで、自分自身も知らなかった自分の一面に驚きと戸惑いを感じていますが、最終回まで頑張りたいと思います。

投稿: Gai | 2004.08.29 12:01 午前

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