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2004.09.11

世界の中心で、愛をさけぶ (最終回)

すごいドラマだったと思う。

おそらく冷静には見られないだろうと、ある意味覚悟を決めて見た最終回。
最後の最後まで涙を抑えきれないシーンが続いたが、見終わった今、とてもすがすがしい。

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もしかしたら、見終わった後も心が暗いまま過ごさなければならなくなるのではないだろうかと恐れていた。
柴崎コウの「かたちあるもの」を聞く度に、悲しさだけを思い出す事になるのだろうかと考えていた。
でもそうはならなかった。
見送ることの大切さ、走り続けることの意味と尊さを、改めて教えられた思いでいっぱいだ。

 
見事な最終回だったと思う。
役者さんたちも皆素晴らしかった。

山田君と綾瀬さんを最初見た時は少し頼りなげで、この2人でこのドラマが支えていけるのだろうかという印象だった。
しかし回を追うごとにどんどん成長していく感じで、朔と亜紀の世界を作り上げていったその様は、もう見事というほかない。

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亜紀の家族、朔の家族には、今の時代において薄れつつある「家族のきずな」を考えさせられた。
それぞれの両親を演じた4人の役者さんたちの素晴らしい演技を、きっと生涯忘れないだろうなと思う。

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知世の葬儀の時の涙、朔を殴り、泣きながら思いを訴えた龍之介、ボウズの「好きでした・・・」も切なかった。

亜紀の机を撫でながら、テープから聞こえてくる亜紀の声に涙する谷田部先生。
亜紀が「私の理想」、「恩師と呼べる人にめぐり合えたことを幸せに思う」と語った言葉どおりの先生であることを、松下由樹さんは、見ている側が少しも違和感なく受け入れられる、存在感のある先生役を見事に演じきっていたと思う。

人の生死を扱ったり、白血病や癌といった病気と闘う主人公を設定したドラマでは、必ず批判的な意見や中傷するような意見もどうしても出てくるものだ。それはそれで当然の事だとも思う。
人は誰でも死に向かって生きているのだから「死」は避けては通れない。

自分はまだ、年齢的にも大切な人を失う、身近な誰かを見送るといった経験が無いけど、これから先、きっとそういう状況に立つ日も来るのだろうなと思う。

その時にどうあるべきか、また自分が走り終えた時に自分のどんな姿を、生き様を残せるのか、このドラマを見終えた今、これまでとは少し違った捉え方、考え方ができるようになったような気がする。

それはこれまでの色々なシーンを通して考えさせられてきた事だけど、この最終回では朔の父、亜紀の父、二人の父親のセリフが象徴していたと思う。

亜紀の死を受け入れられずに、見送ることを拒否し続ける17歳の朔に対して、厳しい言葉を放つ父。

亜紀さんのためにじゃなくて
お前、自分のために泣いてるだけじゃないか
どうして送ってやる事一つ出来ない!
どうして死んだ人間の頼み一つ聞いてやれないんだ!
情けねぇなぁ・・・

これまでコメディ的な役どころの多かった高橋克実さん、このドラマでもずっと物静かで穏やかな父親を演じてきた高橋さんの迫真の演技に、人生の厳しさに直面した息子に対する父としての愛情の深さが伝わってくる。

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一方、17年を経てようやく訪ねてきた34歳の朔太郎に対して、三浦友和演じる亜紀の父親の言葉も深い。
これからだんだん、亜紀のことを忘れていくのだろうと、罪悪感のようなもの感じている朔太郎に、「怖いんだろう、俺も同じだ」と語り、そしてそれでいいんだと言う。

忘れたいのでも 忘れないのでもなくてね
人間は忘れていくんだよ 生きていくために

よく頑張ったなぁ、朔
生死を扱う仕事は、辛かっただろう
十分だ
ありがとう

画面の中の朔太郎と同じように泣いてしまった。
昔、「赤い運命」というドラマで、白血病で死んでいく恋人を持つ役を演じた役者さんが、今度は同じ病気によって命を失う娘を持った父親役を演じた事を思うと、単なる時の流れ以上の何か不思議なものを感じさせられる。
難しい役を、本当に見事に演じきっていたと思う。

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34歳の朔太郎が亜紀の父と再会するこのシーン、17歳の朔が、いつもおどおどしていたのと同じようなその様子を通して、また17歳の朔が、病院の椅子で涙しながら目覚める34歳の朔太郎と同じように、机で涙しながら目を覚ます様子などを通して、緒形直人演じる朔太郎と、山田孝之演じる朔が、見事に繋がって見えたのも印象的だった。

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二人の父親が語ったセリフに、そしてエンディングで流れた、17年後の人々の、逞しくも穏やかに日々を送るその姿に、第10話で「私、何のために死ぬんでしょうか?」と聞いた亜紀に語った、谷田部先生の言葉が思い返された。

それは残された人、一人一人が決めることなんじゃないかな
その生き様を見て
広瀬亜紀はどんな風に生きてきた?


広瀬亜紀、最後まで本当にきれいだった。
遺言のように遺され、17年を経てようやく朔の元に届いた「ソラノウタ」の、最後のページに描かれた可愛らしいイラストは、今思い返すだけでも涙が出てしまうけど、そこに書かれていた詩をしっかり思いとどめて、明日からの日々を走り続けて行きたいと思う。


生きていくあなたへ

もしも、おまえが
枯葉って何の役に立つのって
きいたなら

わたしは答えるだろう
病んだ土を肥やすんだと

おまえは聞く
冬はなぜ必要なの?

するとわたしは答えるだろう
新しい葉を生み出すためさ

おまえは聞く
葉っぱはなんであんなに緑なの

そこでわたしは答える
なぜって やつらは命に溢れているからさ

するとおまえはまた聞く
夏が終らなきゃいけないわけは?

わたしは答える
葉っぱどもが みんな死んで行けるようにさ

おまえは最後に聞く
隣のあの子はどこに行ったの

すると私は答えるだろう
もう見えないよ

なぜなら おまえの中にいるからさ
おまえの脚は あの子の脚だ

がんばれ


堤防を手を繋いで歩き去っていく朔と亜紀の姿のラストシーンは、単なる回想でもなく、また死後のイメージでもないと思う。
生きて行こうとする人の心の片隅にいつまでも残る、その人が強く生きて行くために必要な「意味のある時間・瞬間」を表していたのではないかなと思うのだ。

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このドラマに出会えて、そして最後まで見ることができて、本当に良かった。
朔と亜紀と共に駆け抜けた夏が終わり、外はもうすっかり秋の様相。
教えられた様々なことを忘れずに、明日からもしっかり頑張りたいと思う。


素晴らしいドラマを見せてくれたスタッフや役者さん、そして、つたないレビューに最後まで付き合って下さった、これを読んでくれている皆さんにも、とてもとても感謝しています。
ありがとうございました。

全話レビュー

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コメント

視聴後感(という単語はないでしょうが)は穏やかですね。
絵本を閉じるところから走り始めた朔が、亜紀の「がんばれ」に導かれて辿り着いた境地だからでしょうか。
作中でも使われた葛生とも、朔のおじいさんのエピソードとも重なるラストシーン。
幸福なエンディングだったと思います。

始めて二番まで使われた主題歌の「でもこの今(とき)を生きるあなたを ずっとずっと見守る」の箇所に合わせて新しい家族3人で自転車を走らせるシーンを被せる、というような細やかな演出も含めてドラマ全体を締めくくるにふさわしい最終回でした。

『オレンジデイズ』の頃からサイレントウォッチャーでしたが、ドラマと同じく爽やかな読後感を得て書き込みさせて頂きました。
毎回の迅速で暖かいレビューお疲れ様でした。そして、ありがとうございました。

投稿: tele | 2004.09.11 07:39 午前

ども。

ついに最終回・・・今回はカミサンと二人きりで観たのだ。
カミサンは終始涙、涙、涙・・・
私は、あふれる寸前で最後まで持ちこたえてしまったのだ。

ラストシーンは、想像していたものより「スッキリ感」があって、未来への明るい光が見えたようだったのだ。

観終わった後、自分の恩師を思い出した。
高校の英語の先生・・・

なんと第二次世界大戦で戦闘機(ゼロ戦?)に乗っていたそうで、いつも授業中は戦時中の話しに脱線していたのだ。

先生「男(戦闘機乗り)は、なぜ生きて帰還したいと願うか?」
生徒「やっぱり、死ぬのが怖いからでは?」

先生「いいや、好きな女ともう一度寝たいと思うからだっつ!」
生徒「親よりも、彼女が大事ですか?」

先生「好きな女は、親以上に自分を愛してくれている。他に理由は無いっつ!」
生徒「・・・(ア然)」

そんな先生の言葉が、この年になってそしてこのドラマを観て納得できた感じがしたのだ。


やっと全話のレビューが無事終わって良かったのだ。
お疲れ様だったのだ。(拍手!!!)
私も、支離滅裂なコメントを毎回懲りずに書き続けて・・・


P.S.
次回、「特別編」のレビュー予定は?

投稿: はんぎょどん | 2004.09.11 08:56 午前

はじめまして。毎回ドラマを見て感動し、Gaiさんの丁寧なレビューを読ませていただいて新たに感動を呼び起こしていました。全11回レビューお疲れ様でした。今回は勝手ながらトラックバックさせていただきました。

ラストの「ソラノウタ」良かったですよね。
私はこれまで「がんばれ」という言葉は好きじゃなかったんですが、本当にがんばっている人に応援してほしい人から言われると、まっすぐに胸に届く言葉だったんだと改めて分かりました。

投稿: じまぁ | 2004.09.11 10:34 午前

みなさん、コメントありがとうございました。

> tele さん

ほんとに細やかな演出が随所にありました。
ビンが路上で割れたりとか、夢島で電話の音が聞こえたりとか、過去の回で「なんで?」というようなコトも、全話を通してみると「なるほど」と思えたり。
『オレンジデイズ』の頃から見ていてくれたとは・・・
本当にありがとうございました。

> はんぎょどんさん

すごい先生ですね!
はんぎょどんさんには1回も欠かさずコメント頂いて、毎回励みになりました。
最後までお付き合い頂いて感謝感謝です。
ありがとうございました。

特別編のレビュー、どうなるかなぁ。
見てから考えたいと思います。

> じまぁさん

トラックバック、ありがとうございました!
Gaiもキツイ思いをしている人には「がんばれ」という言葉はあまり使わないで、「がんばりすぎないで」と言ってあげることが多いです。
でも、ほんとに今回の最後の「がんばれ」は暖かくて心地よかったですね。
これからは じまぁさんのBlogにも時々おじゃまさせて頂きます。今後ともよろしくお願いします。

投稿: Gai | 2004.09.11 05:33 午後

どうもです。

ついに最終回を迎えてしまいましたが

『サクが17年間引きずってきた物』

その理由が最終回で分かったような気がします
アキから贈られるはずだった『ソラノウタ』
あの絵本が17年前にサクの元に渡っていれば
また違った人生があったかも知れない

でも、それはサクの贖罪でもあるのかも知れませんね

同じ時を過ごした人達の中には
色々なカタチで『アキ』が生きている

それだけで充分じゃないですか

今回でドラマは最終回ですが
またこんな素敵なお話に巡り逢えたら、と思います

投稿: マツ | 2004.09.12 05:54 午前

マツさん、お久しぶりです。
コメントありがとうございました。

>『ソラノウタ』あの絵本が17年前にサクの元に渡っていれば・・・

やっぱりそう考えてしまいますね。
でもきっと、あの時手に渡らなかったから今の朔太郎がある、医者になり、明希や一樹との出会いがあり、これからの未来がある、ということなんでしょうね。

身に起きたコトというのは、一面だけで捉えるととても不幸なコトであっても、実は人生において大事なステップだったりします。
だから結局僕らはどんな時でも、その時その時を逃げずに精一杯生きるしかないし、それが大事な事なんでしょうね。

ほんとに色々なことを考えさせてもらったように思います。
またこういう、いいドラマに出会いたいものですね。

投稿: Gai | 2004.09.12 03:47 午後

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