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2005.06.21

スクリーンの中の電車はいかに? ~映画「電車男」

ほんとにほんとにご無沙汰しております。
約4ヶ月ぶりの更新。
別に何があったというワケでもなく、それまで通りの生活を送っている日々なのですが、強いて言えばネット活動の「熱が冷めた」というのが理由でしょうか。

今日を境に再開、というワケでもないのですが、「電車男」とこのブログは妙に縁深いので、やっぱり映画を見た感想くらいは書き残しておこうかなと思い立ちました。

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初めてここで「電車男」を取り上げてからもう1年以上も経っているんですね。
記事に取り上げたのがかなり早い時期であったということもあって、「電車男」関連の記事を書く度にアクセス数がうなぎ登りに増えていった頃が懐かしく思い返されます。

 
「電車男」が「2ch」を世に広く知らしめたという点は誰もが認めるところだと思いますが、同時に「電車男」は「ブログ」というものが世に広がっていく課程において、大きな牽引力となったという点も見逃せないでしょう。

今でこそ「ブログ」も「電車男」も、ネットを利用する人にとってはある意味常識的なキーワードですが、当時は「ブログ」で「電車男」の話しを知った、「電車男」で「ブログ」というアイテムを知った、という相互作用がたくさん見受けられたように思います。

同時に、その後日談が「mixi」で読めるという情報から、「mixi」が、ひいては「ソーシャルネットワーク」というものが、より身近になるキッカケとなった人も多いと思います。
かくいうGaiもその一人。

そんなわけで「電車男」は単に「ネットで生まれたリアル・ラブストーリー」というだけでなく、まさに「ネットにおけるコミュニケーション」の世間への認識そのものを広く大きく変化させたというところにも、その独自性があったといえると感じます。

さて、前置きが長くなってしまいましたが本題の「映画」のはなし。
見に行ったのは公開後1週間くらいしてからでした。

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最初に驚いたのは、映画化の話しがネットを経由して伝わってきてから、公開されるまでの「期間の短さ」でした。
実際、「1ヶ月で撮ってサクッと編集した」との事で、そういった点でも「作品の質」という面で少し心配になったりもしていました。

更に最大の不安は、「本当に2chを映画で描ききれるのだろうか? そうでなければ、巷にいくらでもあるただの恋愛ストーリーになってしまうのではないか?」という点でした。

そんな数々の不安や警戒心を持って見に行ってみたのですが、その結果は・・・
いやはや脱帽ものでした。
見事というほかないですね。
もちろん突っ込みたくなる箇所は多々ありますが、立派に「電車男」がスクリーンの中に再現されていたといえるでしょう。

テロップでは「毒男」となっている言葉が音声では「オレたち」と変換されていたり、「qあwせdrftgyふじこ」をしっかり映像として見せてくれたり、ラストの電車男の告白の場面では、いわゆる2ちゃんねる用語でいう「祭り」を見事にCGを使って映像化していたりと、様々な工夫やアイデア・演出が凝らされているなと感心しました。

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そして何よりも山田君の演技の見事さ。
配役が決まった時、これまで彼が演じてきた役どころから、ちょっと「電車男」とは違うんじゃないかなというイメージもありましたが、見終わった時にはもう彼しかいないのではないかと思えたほど。

ネットの助言を得て外見がオシャレに変わった後も、最後の最後までキョドった仕草など、中身はまるっきりオタク少年のままな演技を貫いています。
見ているものに嫌悪感を与えぬギリギリの役作り、エルメスといういわば「別世界の住人」に好かれるために四苦八苦するというギャップの表現、そして何度もクスっとさせるコミカルな演技の数々、にも関わらずにじみ出てくる純真さ・純粋さが、本当に応援したくなるような気持ちにさせてくれます。

この電車男の恋物語、ラストのエルメスの「がんばって!」が、素直に共感できるかどうかがカギだったのではないかと感じるのですが、恋をするって本当に苦しいんだよねと思い出させてくれる山田君の演技があったからこその成功だったのではないかと改めて感じます。

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ヒロインの中谷美紀、実年齢では山田君より7歳も年上で、普通に見れば少々年齢的に厳しい面もあるのですが、これもまた適役だったのではないかと思います。

実際、当の2ちゃんねるに「エルメスは中谷美紀似」という電車男ご本人の書き込みもあるのですが、後日談を含む「実像」のエルメスは、必ずしも映画の中だけで伝わってくる性格や人柄とは異なる部分も多々あります。

しかし映画では、リアルエルメスよりもむしろ、電車男の報告を見ながらスレ住人が妄想する「美化されたエルメス」という点をとても大事にしたんだなと感じられ、その点もこの映画の成功にはかえって良かったのではないかと思います。

とにかく「この方が自然ですね。」「少なくとも私にはモテモテですよ。」などなど、数々のエルメス語録が、優しく涼しげな中谷美紀さんの声を通して聞こえてくる様は、本当に何度でも繰り返し聞かせて欲しくなってしまいます。

それにしても山田君や中谷中谷美紀さんが「このお店、マターリしててモチつきますね」「おかわりキボン!」というセリフを口にするシーンは、想像しただけでも面白いのですが、やはり全体の流れの中では浮いてしまうところ。
しかし映画の中では「電車男の夢」というカタチでうまくさばいていたなと感心しました。

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さて、中盤まではまるっきり原作通りに流れが進んでいきますが、後半はオリジナルな展開となっています。
ちょっと強引な展開かなという印象もぬぐえませんが、映画的に編集するとしたらああいったカタチもアリかなとも思いました。

特に、電車男がエルメスを酔っぱらいから助けた後、ティーカップを送ったり、電車男からの最初の食事の誘いに簡単にOKしたりといった経緯の動機付けについては、まとめサイトや後日談でも今ひとつはっきりしない部分でした。

まとめサイトでは唯一、実はエルメスは痴漢恐怖症というか電車恐怖症というか、そういうった事が原因で人間不信になりかけていた経緯が明かされ、そのために電車男の勇気がより一層印象的に映ったのかなと間接的に感じさせる部分があります。

また、この時に電車男は持ち前のオタク要素を発揮させて、ネットで調べた痴漢対策などをプリントアウトしてエルメスに渡したりもしています。

映画では、エルメスのそうした人間不信的事件部分は出てこないものの、「去っていく電車男の後ろ姿が震えていたのを見て、本当はとても恐かったんだ、それでも頑張ってくれたんだ」という事に、エルメスが強く心を動かされたという部分を描いており、エルメス側の一つの根拠として立派に成立させていた点に感心しました。

同様に、例えばクライマックス近くで電車男がエルメスの為にパソコンのパンフレットを渡す下りは、上記した「痴漢対策のプリントアウト」のオマージュであるとも伺えます。
しかし、電車男の視点を軸に流れていくストーリーの中では、雨に濡れて会社まで持ち込んだり、尋常とは思えないほどの解説付箋が貼られていたりといった状況というのは、普通の女性なら引いてしまう行為だろうと思われ、そういう風には思わないエルメスに少し違和感を感じたりもしました。

ところが映画の最後の方で、「飛び散った角砂糖」をキレイに積み上げたり、満月の写真をケイタイメールで送ったりといったそれまでは出てこなかった電車男の行動を、エルメスの視点で後付けで描き、エルメスも実は早い段階から電車男に惹かれいたんだという部分を加えることによって、その違和感を氷解させる作りになっているところも、その抜かりの無さに驚かされました。

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映画ではこうした「時間軸の遡り」が何度か使われているのですが、その事が公開直後、見た人の「映画のラストの解釈」に一部混乱をきたしたという面白い現象も見受けられました。

映画のラストシーン近くで、電車男は再びオシャレになる前のオタク姿で登場します。
定期券を拾って、眠っている女の子のところに置いてそそくさと電車を降りて去っていくシーン。
このシーンが原因で、「全ては電車男の夢だった」、俗に言う「夢落ち」という話しだと思った人がいるようなのです。
そう思った人たちは、一気に興が冷めてしまって「つまらない映画」と評価してしまった方が多いようです。
もしこの映画が本当に「夢落ち」としてまとめられていると解釈したなら、Gaiの評価も一気に下がっていたことでしょう。

映画の中で定期を拾うシーンは、このラストのシーンを含めて複数回あります。
一回目のシーンでは、電車男が隣で寝てた子供の定期だと思い、起こさないように無理な姿勢で拾ってあげるシーン。
次に、エルメスの落とした定期を拾ってあげるシーン。
そこであれ?この定期入れどこかで見たような、と電車男が思っているようは表情が垣間見れます。
そして、三回目のシーンは一回目のシーンと同じだけど、実は拾った定期はエルメスのものだったことを説明するシーン、これがラストに映るシーンとなっています。

普通に考えると「お互い知らないうちにもう出会っていて、大切な人は身近にいた」ということを説明したかったとも理解できますが、そうだとすると個人的にはちょっと余分というか、「電車男」の話しとしては蛇足な感じもします。

これはGaiの個人的な解釈なのですが、もしかしたらエルメスは、小さい女の子のだと思って定期を拾ってくれた電車男のことをちゃんと覚えていて、その上で酔っぱらいに助けられたのではないかという解釈。
エルメスは定期の一件で初めから電車男が親切な性格であることを察知していて、酔っぱらいから救ってもらったことによってその直感が当たった、そして「去っていく電車男の後ろ姿が震えていた」のを見た、だから「ティーカップ」を送り、電車男の食事の誘いをOKした・・・という風に繋がるのかなと。

当たっているかどうかは不明ですw
監督さんや脚本家さんに真意を聞いてみたいところですね。

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また、倦怠期の夫婦、引きこもり青年、ヲタク3人組、看護婦といったスレ住人たちの取り上げ方も、概ね良好だったと感じます。
ただ、スレ住人のセリフの中でも「エルメス宅行きのチケットはJTBでも売っていない、お金では買えない」という言葉はけだし名言だと思うのですが、ワリとサラッと流されていたような印象を受けたのがちょっと残念。

とはいえ「電車男」は、一歩間違えば失敗する可能性が高かった素材だったと思います。
それでも、あの初めて「まとめスレ」を読んだ夜に感じた「多くの人を優しい気持ちにさせるに違いない不思議なパワー」は、映画を見た後にもしっかり感じることができ、その点においてこの映画版は大成功といって良いのではないかと感じました。

「エルメス萌え~」
「電車男がんばれ!」

素直にそう感じさせてくれる映画に仕上げてきた監督をはじめスタッフ・役者さんたちに、改めて拍手を送りたい。
時間が許せばもう一度ゆっくり見てみたい気がします。

ちなみにこれから予定されているTVドラマ版、映画の二人とは全く異なるキャラクターの俳優さんが演じる事になるので、当然内容も微妙に違ってくると予想されます。
いずれにせよ、そちらも「成功」となるといいですね。
楽しみです。

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コメント

ども、おひさなのだ!

実の所、毎日ここをのぞいていたんだけど、いつも更新無しで、ちょっと心配していたのだ。

で、映画観たんですか・・・
私は、もちろん(?)観てません。

Gai さんのブログで電車男を知ってまとめサイトにはまり、ついには娘に本を贈る始末だったあのころがとても懐かしい気がするのだ。

そんなすてき(?)な想い出は、「あの時のままで」って思ってたんで、映画には特に興味は無かったのだ。

そして、今度はTV化・・・

結局の所、今の日本人(=全世界の人)は「純愛に飢えている」って思うのだ。
だから、男なら電車男に共感し、女ならエルメスに共感する所もあるんだと思うのだ。

まぁ、最近日本の映画界が活気づいてきたのは喜ばしいことなのだ。

できれば、原作本無しのオリジナルな作品が多く発表されることを切に願うのだ。

Gai さんの映画&ドラマ評論はいつも楽しみしているので、気が向いたら書き込んでほしいのだ。

ではでは・・・

投稿: はんぎょどん | 2005.06.21 10:28 午後

はんぎょどんさん、ご無沙汰しておりました。

そうでしたねぇ、お嬢さんへのプレゼントが「電車男」本だったったんですよね。
懐かしい。

足を運びたくなるような邦画、ホント増えてきた感じがしますね。喜ばしいことです。

ブログの方は気が向いたらという感じになるかもしれませんが、ちょこちょこ更新していこうと思います。
また是非のぞきによって下さい^^;

投稿: Gai | 2005.06.21 11:16 午後

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